オーナー会社は「同族臭」を消滅させよう

同族会社が悪いのではなく同族臭が悪い

私がお付き合いする会社の9割以上はオーナー同族企業です。同族企業とは、株式の大半を同族で所有している会社で、所有と経営は分離されず、社長を含め、役員など主要ポストにも同族がつきます。事業承継において直系のご子息・ご息女が株式を先代から相続するのが最もスムーズなので同族会社は悪くはありません。しかし、社員等の士気を下げる「同族臭」をプンプンと漂わせるのが悪いです。  

私はさまざまな人事給与問題に関与しますが、社員に公正・公平、実力主義・成果主義を求めながら、同族に極めて甘い会社が少なくありません。金銭面で同族を優遇しすぎる一方で、成果責任の追及が甘いのです。つまり、非同族の社員各位が「これは私達の会社だ」「だから成長発展させていこう」と意欲を削ぐのです。  

大化けする中小企業の特徴

確かに、同族役員が頑張っていないわけではありません。マイカンパニーなので一心同体、人生をかけて頑張っておられます。いや頑張りすぎているくらいです。高学歴で能力のある方も多いです。しかし、「同族臭」を払拭できないと社員の士気は上がらず、YESマンばかりになり、会社は成長しないのです。

ときどき「先生、うちの社員に役員になれる能力のある人間などいませんよ」「彼(彼女)はまだまだですよ」と非同族の方を役員・幹部に登用することについては反論されます。

しかし、グンと大化けする成長企業は、同族役員だけが高みに上がれるが、非同族は誰もついてこれない、役員になる意識もさせないという会社は1社もありませんでした。中小企業、中堅企業を経て、上場し会社を大きくしていった会社は例外なく、「大企業の仕組み」をタイムリーに入れていきました。「大企業の仕組み」とは、一言でいえば「意欲と能力があれば新入社員が役員(社長含む)まで上がれる仕組み・ステージ化」です。そして、しかるべきステージで、しかるべきマネジメント力をつけさせる教育と機会を提供します。  

己の成長・発展が会社の成長・発展にダイレクトに結びつく会社に

大企業であれば25年かかるものを、中堅・中小企業なら10年で役員になれる。

中小企業だからこそ、己の成長・発展が会社の成長・発展にダイレクトに結びつく。

私の人生・命を燃焼させるにふさわしい考え方の会社である。  

このような会社にするべきです。

そのための施策は以下です。

・後継社長は非同族の右腕・左腕に一定の研修をほどこし、役員に引き上げる
・ファミリーの公私混同の色をなくしていく(社用車、社宅、不当に高い給与など)。
・名前だけの同族役員を段階的に退任させる。
・役員まで上がれる等級制度を整備する。
・リーダー層にマネジメント教育を受けさせ、実践させ、フィードバックする。
・会社の考え方・人事ポリシーを明確にし、実力主義を徹底する。

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