1分単位で残業代を払う必要はあるのか?

多くの会社は1日の労働時間の計算を15分単位、つまり15分未満を切り捨てて計算しています。理屈上、1分残業をしたら1分単位で払うことが必要なので、その1分労働していたら、賃金未払い(違法)となります。

裁判・労働審判になるとその決着(多くの場合は和解)の方法はタイムカード通りの計算による支給です。弊社のクライアントでも上場企業は1分単位で給与計算をしています。

サッカーでもロスタイムという時間帯があります。90分間激しく戦っても、試合をしていないと判断される時間帯は3分~6分間程度存在します。これは審判がストップウォッチをもって図っているため算出可能です。このロスタイムの存在がなければ、勝っている会社の選手がわざと倒れて、起き上がらない行為を行うなど遅延行為が続出し、アンフェアな結果を招いてしまうのです。

通常の企業での労働時間はどうでしょうか。特にホワイトカラーの場合、ロスタイムは15分程度はあるのではないでしょうか。だから、労働基準監督署もその「良識」に従い、15分未満の切り捨てには何も指導をしないことが一般的です。

でも、裁判・労働審判になると原則として1分単位です。逆にそれが労働時間ではないことを会社が立証しないといけないと言われます。それは不可能です。

しかし、労働基準法の定めでは、1日の「実」労働時間が8時間が超えた場合、残業代(割増賃金)が必要だとなっています。終業時刻を超過したら1分単位で払うということではないのです。

各社各様でロスタイムは異なります。トヨタ自動車のワーカーなどはほとんどロスタイムがありません。だから1分単位で払うべきです。

一般的な会社では自由にたばこを吸っていますし、コンビニに買い物に行きますし、特に女子は無駄話に花を咲かせています。

各社の働き方・企業風土によりますが、ロスタイムの存在を考えれば、タイムカードの15分単位の切り捨ても決して良識に反するとは思えないのです。これは就業規則上の記載の工夫ができるところかもしれません。

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