人事評価制度で失敗しない会社の特徴

多くの会社がコロナでダメージを受けている。

特に飲食・ホテル・航空関係などはやむを得ない。しかし、マサカの経営リスクに備えていなかった会社が大きくダメージを受けている向きもある。 気が小さい私は個人的に守りの堅実な経営が好きだ。ここに価値の出発点がある。景気が良かろうと悪かろうと一定の基準・哲学に基づいて行動する。一時の感情で目先の売上利益の最大化を目指さない経営である。原則的なことを地味に貫いていく経営。その結果は見事にバランスシートに現れ、ROAに紐づく。

経営も人事政策もミスを犯した方が負けると考える。

華やかな施策を打ちだす、つまりホームランを狙って勝つのではない。エラーをおかさず、地味にコツコツ、シングルヒットを積み重ね、バントで送り、内野ゴロでも点を取り、守り勝つ。

コロナという異常事態、ジョブ型雇用に向けた大転換時代・終身雇用の終わりが叫ばれる。日本型雇用システムが大きく変わるという論調だ。この流れにのって、やれ職務給だとか、やれ成果主義だといって改革に踏み切るとろくなことがない。いま、ミスをしないことが重要なのだ。

そもそも、中小企業の人事労務政策は人間身のある、ちょっと泥臭く、カッコ悪いが温もりのあるものがいいと思う。中小企業の社長が一番その点わかっている。たとえば、大手企業ではありえないが、奥さんに内緒のお小遣い(現金)が夫である社員のフトコロに直接入る、「大人な仕組み」を重視されている会社の人事労務政策はうまくいっていることが多い。血が通っているのだ。

マーケティングが得意な人事コンサルティング会社が持ってくる「こうすればお悩みが解決します」という人事制度のパッケージ、つまりカタチを持ってきて「改革」しようとするのが一番いけない。 そうではなく、人事の原理原則を知ること、かっこつけずに禁欲的であること、制度の導入運用にあたってホームランを打とうと思わないこと、地味にコツコツ原則的なことを守って積み上げ、改善していくこと。ちょっとずつ、ちょっとずつ調整していく。

つまり、人事制度で大成功しようとしない、もっと言えば、失敗しないことこそが重要なのだ。

これは資本力や人材力に乏しし中小企業経営そのものにも通用する原則だと思う。売上利益という華やかな成果を最大にするのではなく、リスクを最小にする経営である。

目次