大手のモノマネではない中小企業の教育概論

(これではダメだ!という例①)

A社は社員80名の卸売業。社長は勉強熱心な方で、●●協会のセミナーや●●会の実践勉強会に積極的に参加している。良いコンサルタントの先生がいれば、その都度、講師として招いて社員に話をしてもらっている。また、良いセミナーの案内があれば、社員を指名して、積極的に行かせている。ところが、社員の士気や能力向上もパッとしないため、社長はどこかに良いコンサルタントの先生がいれば、新たにお願いしたいと考えている。

(これではダメだ!という例②)

B社は社員40名の製造業。取引先の大手企業のO社出身で、社内教育や人事を担当していたコンサルタントの方に教育体系作成や研修講師を「丸投げ」でお願いしている。そのコンセプトは「自律(自立)型人材育成」だ。また、大手企業のカリキュラムをアレンジして、「ビジネスコーチング」や「ロジカルシンキング」なども取り入れている。B社の社長の悩みは居眠りしている社員も多く、また宿題や課題もやってこないことだ。コンサルタントの先生からは、「社長、そう簡単に変わりませんよ。根気比べのようなものです。研修成果は数年単位で考えてください。さあ、来年1年間の研修開催予定を決めましょう」と言われ、「そういうものか・・・」と悶々としている。

(中小企業の教育概論)

自律型人材、優秀な人材にとって最も良い教育はやりがいのあるチャレンジングな仕事を与え続けることだ。そして、自主性に任せていけば自然と自ら燃える。しかし、中小企業には自分で燃えて、自分で動ける人材は社長と一部の幹部のみだ。他の社員は真面目で頑張り屋だが、自ら主体的に考え、動ける人材はいない。夏休みの宿題をもう盆前に片づけてしまう人が大手企業に行く。一方、私のようにギリギリまで放置し、始業式の前日に裏技を使って提出する人が中小企業にやって来るのだ。262の真ん中以下の6割~8割の層がその層にあたる。でも、特に真ん中の6割は社員の中でも主流を占めるので、この層にマッチした内容でなければならない。

ポイントは、

その① 自主性に任せるものはダメ。強制する。

    →参加義務付け、レポートの義務付け、強制読書 等々

その② 定期的に繰り返す執念と仕組み

    →毎日やる、毎月やる、一定期間は半年毎にやる、年1回やる 等々

その③ 学んだ人・気付いた人が他人に教える仕組みづくり

    →人に教える、説明することが最高の教育手段となる

つまり、コンサルタントの先生に頼らずに継続できる、社員の行動を習慣化する仕組みが必要なのだ。弊社のクライアント企業Y社では以下のような指針を行動の根本に据え、習慣化し、大成功している。

<●●株式会社 プロ社員 九原則>

その1 自分で主体的にやる姿勢をつくろう

その2 いつも進歩発展を目指す姿勢をつくろう

その3 他人の利益もはかる姿勢をつくろう

その4 常に目的・目標を明確にしよう

その5 常に両面とも考え、どちらが主流かも考えよう

その6 立場・観点を整理し、多角度から考えよう

その7 客観と主観を区別・整理しよう

その8 行動のつながりで具体的に考えよう

その9 できるだけたくさんの人に会い、本を読もう

社長の話、部長の話、朝礼、研修報告、評価面談、報奨制度、社内報、強制読書とレポートがすべて上記と結び付いている。プロ社員九原則そのものの研修は社長が講師となる必須研修である。上司から部下への指導も上記の言葉でかわされる。

このようになれば、会社に共通語、重要キーワードができるようになる。

仕事の中での「行動」が、社員九原則で「整理」され、「反復連打」されることになる。これを3年以上続けて、社員全体の無意識レベルに落ちれば、重大原則が多くの社員の習慣になる。特に原則の「その1」「その2」「その3」は精神的基盤である。これは能力アップのための最重要基盤だ。中小企業にやってくる人はこの土台から底上げしていくことが前さばきで必要になることが多い。

今は原則御断りしているが、福田秀樹は研修講師を毎日のようにやっていた時代がある。こちらは次から次へと企画を出して報酬を戴くことはできるが、その場限り、場当たり的で、クライアントの自力がついたように思えなかった(そもそも私の実力がなかったからですが・・)。だから、クライアント自身が自力で、行動し、整理し、反復できる仕組みが必要だと痛感した。

社長が社会的意義を感じる経営目的・目標・方針を打ち出し、上記の原則を習慣化する執念と仕組みを下に、社員の力を結集すれば、「人儲け力」がついてくる。これは複数のケーススタディーから確信するに至っている。会社の敵は景気でもライバルでもない。足元を固める人材教育が崩れることである。

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