中小企業の労働生産性の上げ方② 2025 5/20 労務&法務 2025年5月20日前回より続く(中小企業の労働生産性の上げ方①より続く)https://fukudasiki.com/blog20250520_1/ 日本の失われた30年。日本はこの30年以上、海外投資を増やし、海外生産比率を高めていきました(中国等の価格競争に身を投じていきました)。国内の人的投資・人材育成を抑え、賃金を抑え、非正規を増やし、生産性が低迷しました。国内消費が伸びず、デフレが常態化し、負のスパイラルに陥る結果となりました。一方、ドイツ等の労働生産性の高い国は、国内生産に拘り、自国から世界に向けて輸出を強化しました。高付加価値・高単価路線の追求、高いお金を出してでも、どうしても欲しいというものをつくることに注力したのです。欧州の労働生産性の高い国の8つのポイントに学ぶ この30年間、何が起こったのか?30年前とは1995年。「WINDOWS 95」 が発売され、パソコンショップに行列ができ大々的に報道された年です。インターネット時代の幕開けです。ちなみにMS-DOSのPCをいじっていた私の卒論はこの現象にわくわくして、インターネットが社会経済をどう変えるかみたいなことを書きました。私はこの当時、海外旅行するのが趣味でした。強い日本円(当時1ドル=80円を切った年もありました)で、少ない元手で海外旅行ができました。まだ日本は強かったです。インド人に、「なぜそんな豊かな国からindiaに来るのか」とよく聞かれました。いまは、安い国、日本に、自国の強くなった通貨で海外の人がこぞってやってくる時代になりました。 日本人は目に見える機械を作るのは得意です。自動車、家電、工作機械などです。少量化・小型化も得意なようです。しかし、1995年のインターネットの幕開け以降、目に見えないもの、つまりデジタル分野で、一気に米国・中国に負けていきました。そして、日本はパソコンをさわったことのないIT担当大臣まで出てしまうことになります。 そうではなく、その①、デジタル・DXの分野にどんどん挑戦・投資していった国は生産性が高いです。 また、その②、労働者がプロの専門家、各専門分野のエキスパートという意識が強い国も生産性が高いです。その分野も、人事×マネジメント×ノーコードプログラム、アート×広報×WEBデザイン、など、掛け算のスキルアップに勤しんでいます。得意分野を活かすという自主性が高いです。 その③として、あるべき姿を描き、まずやってみる、走りながら考えるという傾向が強いです。トライ&エラー、故にイノベーションの頻度、新商品開発の頻度が日本より高いです。 その④として、個性を活かしたムリのない組織運営「適材適所」です。ジョブ型雇用の世界では適所適材などと表現されますが、どちらでもいいです。生産性があがらないのは、職種職務がその彼(彼女)の適性にあっていないと考えています(だから、合わないとさっさと見切ってキャリアチェンジ、ジョブチェンジをする)。 その⑤として、役割・目標を認識をしっかりさせて、やり方は任せます。ノルマを与えて頑張らせるという感じはありません。 その⑥として、ワークライフバランスです。多くの労働生産性の高い欧州企業は、日本に比べてあまり仕事はしません。たとえば、ドイツは人口2/3、労働時間2/3です。そうすると、総労働投入量は4/9(約44%)でありながら、付加価値は日本と同じです(今後抜かれるでしょう)。日本はなんとか労働時間規制などでこれだけ労働政策で進んだようですが・・・。 その⑦として、転職・リスキリング(プロとして、専門分野にこだわらない学び直し)は当たり前という意識が定着しています。日本は、リスキリングなどする人は10%もいないでしょう。びっくりするほど学び直しはしないのが日本のサラリーマンです。 その⑧として、労働政策とは関係がありませんが、経営とはまず商品サービス選びです。売れる商品を開発して、世界市場で高付加価値・高単価路線で売り込むことを、国家ぐるみ、地方公共団体ぐるみで考えているのです。中小企業でもどんどん世界にうってでています。これが少ない時間で付加価値を高め続ける第一ボタンであることは間違いないです。中小企業が学べること・あるべき姿を描き、やってみる、自由闊達、走りながら考える。かっこつけて言えばイノベーションが起こりやすいように。・適性がない場合は話し合いで辞めていただく(お互いのため)。・付加価値の高い、高単価商品をつくって、売る(海外にも果敢に売る)。・中途採用で若い人が移動してくるので賃金を上げておく。・プロとしてキャリアをつくっていく教育をし、リスキリングを当たり前にする(40代以上は何等かのリスキリングなくして70歳までの雇用なし)。・DX・デジタル投資(人材教育含む)を惜しまない。・人材を固定化しない、人は少なく身軽に変化に対応できるようにしておく。・適切な新陳代謝を促す、終身雇用は風土、※解雇規制は日本が破綻するまで続く。・給与を職務・能力・成果に応じて下げられるようにしておく。・ワークライフバランス、負荷をかけない。特に残業なし、休日多く。・多様な労働力をかき集め、働く者の多様なニーズに応える労働環境を整え、有能な人材が辞めないようにする。 労務&法務