給与明細をペーパレス化(WEB化)したいのですが注意点はありますか?

労働基準法上は賃金台帳を整備しておくだけでよく、そもそも給与明細を交付することすら義務付けられていません。ですから、労働基準法上は給与明細をWEB化しようが、ペーパレス化しようが何ら問題が起こりません。

一方、健康保険法・厚生年金保険法・労働保険徴収法上は、「保険料控除の計算書」を作成して、従業員(被保険者)にこれを通知しなければならないとしています。ということは、

どうやら”給与明細のようなもの”が必要だ、ということになってきます。

最後に、所得税法上は、給与の支払いの明細書を交付する義務があるとしています。しかし、明細書の交付を受ける従業員が承諾すれば、電子情報での交付も可能ですが、従業員から交付請求があれば必ず書面で交付しなければならないとしています。

したがって、実務上は以下のような対応になります。

その1 紙の給与明細からWEB給与明細に移行するときは承諾書をとる。

その2 「紙で欲しい」という人がいるので、会社のパソコンでプリントアウトできるようにしておく。

これが原則論です。

ただ、上場企業や上場企業に準ずるコンプライアンスが要求される企業は必ず承諾書をとりますが、中小企業であれば操作方法の通知のみで承諾書をとらない場合も多いです。若い人が多い企業であれば、全く移行に抵抗がないからです。実際、最近は60歳を超えても、スマホでLINEやメールをバリバリ使いこなされる人が多数いますので、年齢層が高い場合でも問題ないでしょうね。

紙であろうが、WEB化しようが給与明細を見る人は見る、見ない人は見ない。見ない人も多いのであれば、本当に紙はムダですね。給与明細をじっくり見たい人はWEB上でIDとPASSを使ってアクセスする、紙で保管したい人はしっかり会社でプリントアウトして持って帰っています。人それぞれの対応が可能です。

弊社でもWEB給与明細化への移行のシステム導入をコンサルすることが増えてきました。

総務担当のテマを考えると、10年後は紙で給与明細を出している企業は激減しているはずです。

目次