大手企業のモノマネをしない最適規模にこだわりなさい 2024 12/13 組織づくり 2024年12月13日 人の問題はカネの問題、カネの問題は人の問題 私は25年間、労務の世界で生きています。人事給与制度の制度設計もたくさんやらせて戴きました。これは私の力不足を白状することになりますが、会社が儲かっていないとすべてうまくいきませんでした。「それを労務面で儲かるようにするのがおまえの仕事ではないか」というお叱りを受けそうですが、カネがなく、理屈だけこねてもどうしようもありませんでした。無力を感じることも多かったです。 労務面でカネをつくる仕事はたくさんしてきました。人員整理、賃金減額、退職金制度の廃止や減額、福利厚生の全面廃止等です。これにより、新規融資がストップ、社会保険料の滞納企業であっても、自力でカネをつくり、なんとかしのいできたのです。 会社が生き残り、儲かるから、カネが貯まり、その貯まったカネをたんまり配るので、良い人材が定着し、採用ができるのです。すべてはカネから始まります。 やればやるほど、資本が回転し、カネがたまる事業、商品、組織はどんなものか、寝ても冷めて考えることが大切なのです。 最適規模にこだわりなさい 私のクライアントは、年商20億円から100億円規模に多くが分布しています。業種により様々ですが社員数は50名~500名程度です。50億円を達成したクライアントの社長の過半がおっしゃるセリフがあります。それは「100億円企業になろう」です。それで70億円~80億円くらいまではなんとかその流れでいくのですが、それを超えると途端に収益性が悪化し、非効率が目立ちはじめます。すべてが「複雑」になりすぎるのです。大幅な人員整理を余儀なくされた会社、銀行管轄になった会社も複数ありました。 有名なコンサル会社のコンサルタントが、成長支援と称して、これらの企業にドライブをかけ続けるのもこのころです。コンサルタントというのは、ここという時に「コン(来ん)」、肝心なときに「サル(去る)」(又はお引き取りいただく)でした。 年商70億円~80億円はまだまだ中小企業です。法的には、業種別に資本金と従業員数で中小企業か否かが決まるのですが、99%このクラスの企業は、資本、組織、オーナー、社員のマインドは中小企業そのものです。 私のクライアントを含め多くの企業の栄枯盛衰を見てきましたが、無理に売上の成長を追わず、40億円~60億円で手堅く経営をしている会社が一番儲かっているように思います。人手不足・賃上げ時代にはよりマッチするスタンスです。 大手企業のモノマネをしなくていい規模 上記を言い換えると、「大手企業のモノマネをしなくていい規模」なのではないかということです。社長や役員が、少なくとも係長クラスくらいまで人間性も含めてがっちり掌握します。組織図はありますが、変なセクショナリズム・縦割りではなく、風通しの良い横割り組織になっています。できれば拠点は一箇所がいいです(これから店舗展開は人手不足で苦戦します)。血のつながった家族ではありませんが、人と人との絆があり、どこか大家族主義的です。 この横割り組織は、タテ・ヨコ・ナナメの情報連携が濃密で、意思決定・末端の社員まで行動のスピードが速いのです。また、社員教育もその気になれば一気に浸透します。 人事制度や組織づくりなどについて、大手企業のシステムが素晴らしく、教科書・お手本だと思っている中小企業の社長がおられますが、とんでもありません。中小企業のほうが素晴らしく、秀でている組織、人事手法は一杯あります(もちろん、弱点も多いですが・・)。 逆に、名前の通った上場企業ほど、意思決定のスピードが遅く、評論家ばかりでチャレンジせず、だから収益性がどんどん悪化、株価を維持するために見せかけの虚業、対処療法的なM&Aをやっていたりします。特に人事制度など、人事担当者と労働組合とが膨大な時間を使い、理屈で塗り硬め、文句が出ないよう詳細なものをつくりますが、会社の発展という大局的な観点ではサッパリと言っていいほど役立っていない制度も多いのです。 もっとも、業種にもよりますが、一定の規模がない会社、社員が30名未満、年商10億円未満の規模の中小企業・私の会社のような零細企業は、これからの人手不足・賃上げ時代を生き残るは極めて難しい時代になっています。一定規模はないとダメな場合があります。 あ~、来年の賃上げどうしよう・・・。零細企業の社長のため息。 組織づくり