2024年、今年の昇給はどうするか? 2024 2/05 評価・給与 2024年2月5日 思い出される昨年の今頃 ちょうど1年前の今頃、ユニクロが新卒初任給を25.5万円から30万円へ引き上げる、都銀が初任給を5万円引き上げて25.5万円にする、などのニュースが飛び交いました。その時期より、賃上げ相談一色となりました。 私は20年以上、儲かる会社づくりを人事給与面からご指導をする仕事をしてきましたが、少し戸惑いました。デフレモード一色で賃金は上がらないものという認識が強すぎました。相談内容は、初任給の引き上げをどうしたら良いか?それにともなってベースアップをどうしたら良いか?というものです。 もっとも、中小企業は定期昇給とベースアップを区分していませんので、大手企業のような定期初給部分2%+ベースアップ部分3%というようなハッキリしたベースアップではありません。最低賃金上昇や初任給引き上げに伴う「若手傾斜配分的ベースアップ」と言えます。 「賃上げ」は国家戦略だが・・ 政府が主導し、経団連や大手企業は今年も引き続き、最低5%以上、8%、10%など威勢の良い会社が新聞紙上を賑わしています。日銀の出口戦略においても、この「賃上げ」が一つの指標となるなど、マクロの指標として注目の的となっています。 私のお客様の層は、年商20億円から200億円程度の中堅・中小企業様が中心ゾーンです。収益性・安定性に優れた会社が多いです。そんな会社でも「去年並の昇給は難しいな・・」という声が漏れ伝わります。したがって、私のような体力のない零細企業の社長はもう、100回ため息をつくほかないのです。 加えて、中堅・中小企業においては、業績的に芳しくない状況となる会社が増えつつあります。人手不足、円安、仕入価格高騰、電気代・ガソリン代高騰、社会保険料高騰、米国・中国の経済低迷・・・。粗利益の改善が追いつかず、多くの会社に「賃上げ余力」がないのです。 もちろん、各社の昨年の賃上げの頑張り度合いによります。昨年、通常どおりの昇給をしていた会社は今年こそ、思い切った若手傾斜配分的ベースアップを含めた「大きな昇給」を実施する予定でいらっしゃいます。 2023年の昇給からみる2024年の昇給 2023年の弊社の調査の結果を端的に申し上げれば、2022年に比して倍近くの昇給が行われました。具体的には、5,000円上げていた会社は1万円近く、1.5%の昇給をしていた会社は3%程度の昇給を実施したということです。実は昨年においては5%以上の昇給をした会社も珍しくありません。 中小企業で昨年並の昇給が実施できる、つまり国策にのって継続的な賃上げができる会社は極めて少ないのではないかと思います。 しかし、人手不足・定着難の状況で悩ましいのは、2022年まで、たとえば5,000円の昇給をしていた会社は、5,000円では見劣りするということです。初任給が毎年上がりますので、これに必ず若手傾斜配分的ベースアップ的要素を必ず加えていく必要があるということです。最低賃金も上がりますので、パートと社員の初任給の逆転も回避したいところです。 つまり、2024年の昇給は、昨年頑張って上げた会社にとっては、 2022年昇給 < 2024年昇給 <2023年昇給 ということになり、どこまで賃上げ余力があるかによって変わります。どの程度、昨年2023年に近づけることができるか、です。 賃上げ機運のなかで、賃上げ金額を決定する、胸が締め付けられるような気持ちは経営者でないとわかりませんね。 評価・給与