2022年インフレ手当の支給実態と今後の見通し

インフレ手当を支給した会社は6.6%

 帝国データバンクの調査によると、インフレ手当を支給した会社は6.6%となっています。ただし、予定は、支給検討中を含めると4社に1社取り組もうとしているとのことです(2022年11月現在)。一時金の平均支給額は、5万3,700円となっています。

 私はかねてより、インフレ手当を支給する場合には一時金で行ってください、と申し上げていましたが、上記調査によると、インフレ手当を支給した企業のうち、なんと3社に1社以上は、月次の手当に上乗せしたようです。月次での手当の平均支給額は6,500円となっています。

 2022年の冬季賞与は、多くの統計情報で前年を上回りましたが、経営者はインフレ手当とまでは言わないにしても、昨年より多めに賞与を払ったり、決算賞与を特別に出したり、何らかの「対応」に追われたはずです。

 推測ですが、およそ、2022年の冬季賞与時に可能な範囲で何らかの上乗せ(又は経営が苦しい場合は現状維持)対応をした会社を含めれば、半数程度にのぼるのではないかと考えます。

インフレ手当の支給はきりがない

 インフレは当面続くと予想します。今月に入って、日銀の長期金利の利上げの発表もあり、若干円高になりましたが、円安傾向は免れないでしょう。日本の食料自給率は30%程度で、ほとんど輸入に頼っています。11月輸入物価指数は、前年比で48%も上昇していました。遅れて市場価格に反映されますので、2023年はインフレがさらに続きます。

 インフレは当分続くのですから、インフレ手当を出しても出しても追いつかない、そんな状況になりかねません。私はインフレ手当には原則反対をしています。

2023年の賃上げと今後の見通し

 インフレ手当は支給しないにしても、インフレ傾向が定着するため、2023年の賃上げには影響するとみています。経営者としては、経営が苦しいながらも、社員の生活状況を心配しているからです。人手不足で定着率が悪い会社は、特に危機感をつのらせています。

 さらに、最低賃金が上がり、パートの時給が上がり、高卒・大卒の初任給が上がり、玉突きで若手の給与がドンドン上がっています。ですから、若手を思い切って抜擢し、役職手当を付与したり、通常の昇給が5,000円なら、プラス1,000~2,000円、良い人材は結果として10,000円以上の昇給額の加算となる対応が増えそうです。

 パート・アルバイトの時給アップに多くの企業は困っています。

 2023年は、円安、物価高、ゼロゼロ融資終了、コロナ、人手不足、高齢化などの「六重苦」で追い込まれる中小企業が少なくないと予想されています。

 賃金を引き上げても、人手を確保できない企業も激増しています。踏ん張りどころです。

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