中小企業がシニア社員を戦力化するには? 2022 11/01 組織づくり 2022年11月1日 シニア社員を変えるのは至難の技 シニア社員(50代・60代の社員とする)のパフォーマンスの低下に困っている会社が多い。一方で、会社も20代・30代の若手の定着・育成に手をとられて、シニア社員の面倒まで見れない、というのが本音のところだ。1on1で個人の意向を把握していきたいが、手がまわらない。 年をとると、無意識の思い込み、偏見が強くなるので、シニア社員を変えることは至難の技だ。私も今年50歳になるが、永年積み重ねられた価値フィルターがどうしてもある。色眼鏡で物事を見てしまいがちだ。 しかし、会社としては、シニア社員にはそれなりの給与を払っているのだから、戦力として働いてもらいたい。もっとも、シニア社員であろうがなかろうが、人を変えることはできない。情報をフィードバックすることで自ら変わるか否かである。ではどんな情報提供をするか? 目標管理制度か? 人事コンサルタントは、元管理職・シニア社員のやる気を高めるために、目標管理制度を導入することをすすめる。しかし、目標の設定、難易度調整、中間面談などかなり手をかける割には、当該シニア社員のやる気はサッパリ上がらない。逆に目標達成度で評価され、年俸や賞与が減額になれば余計にパフォーマンスが低下する。営業などの数値で成果が出る業務でないと、納得性がなかなか目標管理制度で担保できない。 周囲はシニア社員に何を期待しているのか? 私がご相談を受ける事案では、もっとベテラン社員らしく、いじけずに、大人として仕事をしてほしいという極めてプリミティブなことができていない人が多いように思う。 実は周囲からシニア社員に期待する行動は難しいことではなく、以下のようなものである。 ①真面目で責任感が強く、自分の仕事はきっちりと時間通りに終わらせる。 ②(過去に管理職だっただけあって)部下指導もしてくれるし、リーダーシップがある。 ③職場の雰囲気を向上させてくれるムードメーカーになってくれる。 ④コミュニケーション能力が高く、後輩に対して面倒見が良い。 ⑤会社への忠誠心が高く、仕事も丁寧で意識が高く、若手社員の手本になってくれる。 ⑥何でも頼めば心よくやってくれる。頼られることに意気を感じている。 ⑦事情をすべて飲み込んだ上で給与が下がっても同じ働きをしてくれる。 難しい制度を導入して、シニア社員にはいきなり専門職者・ジョブ型雇用っぽいことを求めようという向きがある。しかし、今までメンバーシップ型雇用システムで生きてきたのに、やれ目標管理だ、やれジョブ型だといっても、会社もシニア社員も戸惑うだけだ。 シニア社員ならではの人格的成長を求める シニア社員ほど、人間力を高め、器を広げる情報を取り入れ、人格的成長が必要なのだ。それは自らの内面、人生理念、人生ビジョンを深く掘り下げる作業が求められる。シニア社員ほど、働かせて戴いているという感謝の気持ちを持って、「我=利己の心」を抑え、自らが素直な心をもっているか自問するほかない。現に、これが企業文化となっている会社は、シニア社員がとても活躍しているのだ。 リスキリングもいいけれど、そのような人格的成長を促す気付きを与える情報こそ、中小企業のシニア社員の戦力化には求められていると思う。そして、中小企業の場合、50代・60代の社長や役員がその率先垂範者であることが最も大切であることは言うまでもない。 よろしければご参加ください。2023年1月27日(金)65歳定年延長と60代の給与の決め方セミナーhttps://fukudasiki.com/03-seminar/ 組織づくり