人事制度で社員が成長することはありません!?

ここでいう人事制度とは、評価基準をつくって、測定評価し、社員にフィードバックしながら処遇を結びつける制度です。

著名なコンサルタントの方がこのようなことを言っていました。

「評価は絶対評価でなければなりません。多くの社員が評価点〇点以上ならS評価となって昇給原資が増えるでしょう。しかし、社員全員がS評価をとると会社の業績が上がるはずですから問題ないのです」

「人事制度は社員を成長させるためのものです。これをやればOKという大切な業務を列記しましょう。その出来具合を点数化しましょう」

私はこの業界に20年いますが、人事制度で現在の幹部が育った、エースが育ったという事実を見たことも、聞いたこともありません。また、悪い評価をつけにくいといって、全員SやAが乱発された会社は、今もうこの世に存在していません。

そう、人事制度に過度な期待をしてはいけないのです。

どんなときに社員が成長し、生産性が上がるかと言えば、「安心・安全・モノが言える環境」「難しくやりがいのある仕事」「人との出会い」「教育研修の継続徹底」「惚れさせてくれる上司の存在や上司の期待」「会社の夢と自分の夢が重なり合う」等ではないかと思います。

「人事制度で人を育てようとするのではなく、人を育てたうえで、人事制度で評価しなさい(日頃は叱り飛ばし、人事評価では褒めなさい)。」

「人事制度でやる気にさせるのではなく、社長が儲かる仕組みをつくり、実際の処遇を改善することでやる気にさせなさい。」

と私はいつも申し上げています。

「先生、この人事制度を導入すれば、会社が良くなるでしょうか?」

という質問に対して、

「うーん、御社はたいしてよくならないでしょうね。〇〇と××をしない限り・・」「さあ、わかりません。ただ、失敗はしないでしょうね」と答えることが多くあります。

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