人材確保のために退職金制度をつくるは正解か? 2022 10/03 評価・給与 2019年3月29日2022年10月3日 先日、Y社から退職金制度を作りたいというご要望を戴きました。採用コンサルタントという方から「退職金制度がないとこれからは人材採用が難しい」と助言を受けたそうです。 しかし、私は反対しました。 目次Y社には総人件費管理の面から退職金制度に優先してやるべきことがあるからです。 初任給是正、若手のベースアップ、休日増加と残業代の適正な支払いです。 どの企業様にも共通することですが、最近は労務コストが上がる話ばかりです。 最低賃金上昇、パート・アルバイト・契約社員の非正規社員の賃金上昇、新卒初任給上昇、若手の定着のための防衛的昇給、定年再雇用者の賃金上昇、社会保険料の上昇・・・、等々が共通しています。 「これ上げましょう」、「あれ上げましょう」、「この制度をつくりましょう」、こういうのは簡単なんです。でも、その原資はどこから捻出しますか? 特に退職金制度は一旦導入しますと、法的には社員に対して約束手形を切ったのと同様の扱いになります。 退職金規程は、労働基準監督署に届けられなくとも、社員に周知していれば退職金支払い義務が生じます。退職金制度は、比較的業績が良い時期に作られるものですが、業績が悪くなり資金繰りが悪化した場合を想定していません。万一、会社が人員整理をしなければならなくなったとき、会社を清算するとき、会社を売却するとき、退職金制度は大きな障害となる場面に少なからず遭遇します。退職給付債務などは会計士さん・税理士さんは上場会社でない限り、計算もしていないのです。決算書にのせないからです。社労士さんも制度はつくりますが、会計的な発想で助言される人は少ないと思います。 総人件費管理においてもスクラップ&ビルドの発想が要ります。 その大方針としては、「今の貢献は今、清算する」です。 「職務内容と成果に応じて、その人の時価に応じて支払う(pay for peformance)」のです。これがポスト平成の原則となるのですから、勤続年数×基本給などで計算される退職金制度は過去の遺物とえいます。 同一労働同一賃金の時代ですから、ほぼ同じような仕事をしている契約社員から、「正社員には勤続に応じた退職金があるのに、契約社員には全く無しなのは不合理だ」と訴えれ、会社が敗訴していたります。 多くの若手は定年時にたくさんもらえる退職金制度より、今の働きをしっかり評価されて、いまの給与で清算してもらえる給与制度がある会社に行きたいと思っています。 企業が収益性と安定性を高め、上記がバッチリできるようになったら、はじめてしっかりとした積み立てをすることを前提に、幹部を中心にした退職金制度をつくればよいのです。 評価・給与