誰も言わない?働き方改革関連法、この改正 2022 10/03 評価・給与 2019年7月8日2022年10月3日 年次有給休暇や労働時間の上限規制の影に隠れてほとんど議論の対象とはなっていないのですが、私が少し驚いた法改正があります。それは雇用対策法です。 目次雇用対策法は、採用における年齢差別の禁止等を定めている法律ですが、国の雇用政策を定める法律でもあります。 この法律の中で、政府は国策として、年功から職務能力の評価の方向へ進むと言い切っているのです。 簡単に条文内容を示せば以下ようになります。 職務の内容+当該職務遂行能力 ↓ その内容の明確化 ↓ その能力等評価方法の確立 ↓ 能力等の評価に基づく公正な評価 ↓ 公正な評価に基づく適切な処遇の確保 これは従来の日本の雇用慣行とは真逆のことを言っています。 つまり、私たちはあらかじめ職務内容と評価内容を明らかにしたり、職務に必要な能力を明らかにしてなどはやったことはありません。 雇用対策法は、欧米のジョブディスクリプション(職務記述書)をイメージしています。これは年功序列型賃金、家族・住宅手当により生計費がかかる人はその生活の安定に資する賃金決定をしてきた事への挑戦ともいえます。 良いか悪いか別にして、政府が考えていることは欧米のような雇用社会です。 日本は人をみて、適材適所の労務管理をしています。それをまず職務・ポストそれに必要な能力を命じして、それに人をつける適所適材の労務管理をしようとするわけです。 今後、年功賃金は崩壊します。 政府がそれを主導します。その帰結として、中高年の賃金が下がり、初任給を含めた若い人の給与が上がります。大手企業は若い人への賃金原資をまわすためか、年功賃金で割高になった給与をもらっている45歳以上の人をリストラします(もうしています)。そして、職務給を導入することを進める人事コンサルタントがいっぱい出てきます。日本の労働法制では退職勧奨や希望退職等より給与を一方的に下げるほうがはるかに難易度が高いからです。 この変化は、年金の仕組みの世界で、賦課方式(世代間扶養)から積立方式にするくらい大きな転換です。 急には変わりません(変えれません)が徐々かつ確実に変わっていくことは間違いがありません。 給与制度を見直そうとされるお会社はこれをふまえる必要があります。将来を見通しながら制度設計しなければならないので、難易度高いですね。私もいつも各企業の最適解について悩みが尽きません。 評価・給与