コロナ感染爆発!中小企業の労務最前線 2022 10/03 社長のQ&A 2021年9月2日2022年10月3日 お客様から相次いで悲鳴にも似た相談が・・ 報道のコロナ感染者の数字は本当なのだろうか? 「濃厚接触者又はその疑いの者が多数で業務に支障が生じているがどうしたらよいか?」 という連絡・電話がなりやまない。私は社会保険労務士事務所を経営している。中堅企業を中心に百数十社のお客様のご支援にあたり、そのなかで1000人規模の会社も複数ある。結果として、万人規模の労務管理にかかわっていることになるだろう。だから、すべて手にとるように今のリアルがわかる。 キーワードは子供を含めた「家族感染」「家族濃厚接触者」だ。 菅政権は自宅待機・療養を基本と据えた。これは将棋でいえば、「悪手」となった。この政策により、家族感染・家族濃厚接触者が急増している。 そうではなく、自宅で感染者が出たら、ホテル・旅館等に隔離すべきだった。幸か不幸か、京都のホテル・旅館はガラガラだ。オリンピック後の東京も同様だろう。これを公費負担すればGO TO トラベルは要らない。JTBさんは気の毒だが。 保健所の対応は“グダグダ” 昨年、保健所は感染者が出たら、その感染者の勤務先にやってきた。職場の濃厚接触者を特定し、消毒場所なども指導を行っていた。いまは一切職場に来なくなり、職場の濃厚接触者の特定はしなくなった。すべて会社任せとなった。会社は感染者に関する情報について保健所からもらえない。医者―保健所―本人―会社間で情報が寸断されているので、会社は本人からしか情報が収集できない。本人からの情報を信頼しないわけではないが、真実かどうか確認する術はない。 また、家族の濃厚接触者が出たら、保健所からPCR検査キットを送るという対応になっているが、そのキットはなかなか送られてこない。 そんなこんなで、家族のなかでは3週間にわたり、保健所より自宅待機要請が出ている状況が頻発している。五月雨式で、長男→次男→母→父 と感染していくと、父は濃厚接触者としての長期にわたり自宅待機を余儀なくされる。これが自宅療養の問題だ。 カギになる社員が3週間、いきなり休むことがありえる 「いきなり、この社員に3週間休まれたら困るな・・・」、この危険はすぐそこに来ている。テレワークで業務ができるなら、それほど問題はない。しかし、そうはいかない業務がある。建設業の現場社員、ゴミ収集、看護師・介護士、バス・トラック運転手その他、出勤してもらわないと困る余人をもって代えがたい社員。 このような社員には一定期間、ホテルを会社負担で借りて、ホテルから会社や現場に通ってもらうなどがありえる。また、検査結果が出るまで濃厚接触者かどうか不明な場合があるので、PCR検査キットを会社に常備しておくなどもできるだろう。一方、感染予防を後退させて、「業務をまわす」ことを優先せざるを得ない局面も必ずくるだろう。現在の保健所行政がまさにそうだ。これ困りますが・・。 法的には3週間程度給与は無給!? 家族感染の場合、濃厚接触者としての期間が長期(3週間程度以上)に及びうることがある。そうなると問題は給与保証だ。なぜなら、原則として会社の責めに帰すべき事由ではないので、会社は給与の支払い義務は負わない。そうなると、1ヵ月間程度の給与がまるまるもらえず生活ができない。有給休暇をとっていただくこともできるが、20日間ほど残っているかといえば、残っていないことが多い。 確かに恩恵的にコロナ特別休暇(有給)を与えれば良いのかもしれない。しかし、一般的な中小企業にとって荷が重すぎる。また、デルタ株、ミュー株など次から次へと「強敵」が現れ、出口が見えない。常にコロナ特別休暇(有給)が発動される事態となる。一度、与えると既得権化して、今後は付与しないとは言いにくくなる。 そして、現在の給付金の制度設計上、上記の趣旨に合致したものはない。これに類する給付金を半ば「不正に」受給する会社も多いと思われる。ちなみに、この給付金の電話窓口は1日中電話がつながらない。みんな考えることは同じだ。 私は専門知識もなく政治家でも医療関係者でもないが、労務という窓からみるとこのように思う。飲食店営業や酒の提供などが感染拡大の真因ではなく、感染者の探知、予防、拡大防止の封じ込めの体制があまりにもお粗末である。 社長のQ&A