採用時に適性検査をやってデータを貯めなさい

なんでこんな人採ったの?

 試用期間中に「先生、全く使えないので辞めてほしい」という相談がこの1~2年で激増しています。我慢しても半年から1年が限度のようです。人手不足・求人難で応募そのものがありません。したがって、「半分目をつぶって」「妥協して」採用する局面が少なくありません。しかし、ミスマッチな人を採ったときの会社の損失は計り知れません。労働裁判の常習者のような人をババ引きのババのように引いてしまい、困り果てている中小企業も少なくないのです。

採用活動とは「良い人を採る」活動ではなく、「採ってはいけない人を採らない」活動

 採用活動とは「良い人を採る」活動ではなく、「採ってはいけない人を採らない」活動であると認識することが重要です。そこで、私は適性検査をおすすめしています。適性検査は、古くはリクルートのSPI検査などが有名です。他にもたくさんの優れた検査があります。どこも似たり寄ったりなので何でもいいと思います。

勘ではなくデータ

 いま、メジャーリーグでは徹底したデータ活用が進んでいます。ドジャースの大谷翔平が打席に入ると、サード・ショート方面に人がいません。センター方向中心に極端なシフトが組まれています。データで飛ぶ方向がわかっていて、実際にそうなっています。

 採用面では、Googleの採用も事実・データ・複数の客観的視点で徹底した採用選考がされていることで有名です。

 「先生、僕は人を見る目があるんですよ」とおっしゃる経営者・管理者がおられます。確かに、そのような敏腕面接官はいらっしゃると思います。しかし、多くの方が、30分やそこらの面接で人物は見抜けないと考えたほうが良いです。

 日本は、3組に1組、いや仮面夫婦なども含めるとさらに多い確率で離婚しています。結婚時には慎重に選考を重ねたはずです。人となりは感覚ではわからないのです。

 「適性検査は以前やっていましたが、当たらないのでやめました」とおっしゃる方もおられます。確かに適性検査も候補者が自分の認知で答えていますので万能ではありません。しかし、多くの中小企業の採用の失敗の見聞していると、感覚に頼りすぎていて、事実やデータを軽視していると思わざるを得ないのです。データをとって、違和感・疑問があるところを面接で確認します。

データで明らかに異常値がでる

 採用活動とは「良い人を採る」活動ではなく、「採ってはいけない人を採らない」活動であると申し上げました。適性テストをやると、異常値・違和感のある数値として浮かびあがることが多いです。たとえば、福田事務所が使っているCUBICという適性検査で「信頼係数」というものがあります。この係数が著しく低いと、「自己理解不足」「操作性」「設問理解不足」「集中力欠如」「パーソナリティー未発達」「モラトリアム傾向」などが内在している可能性が高いのです。

適性検査は「在籍社員のデータ」が必要

 適性検査の上手な活用方法は、在籍社員のデータの分析です。部署ごと、職種ごと、役割ごとの「高業績者の特徴」と「伸びや悩み社員の特徴」を明らかにしておきます。福田事務所では、自社やお客様向けにCUBICという適性検査をもう20年以上やっています。そうなると、能力があっても適性がなく辞めていった人、伸び悩んだ人、能力的はどうなのかなと思っていたが、適性があり、定着して活用している人、労務問題でやめた人などのデータがあります。中小企業ではどこへ言っても「優秀」と評価される人材が意外と長期的には活躍しないなどの傾向があったりします。適性がないと教育してもムダになります。教育では人は変わらないのです。

 ポイントは、何でもいいので自社で同じ適性検査を使い続け、自社で活躍する人材のデータを蓄積し、次の面接に活かすことなのです。エクセルなどでデータをはきだして分析できるものがいいです。人を集め、適切な人を採る技術は外からはわかりませんが、歴史的積み重ねがものをいう最大最高の労務ノウハウなのです。

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