その社員共済会はもうやめなさい 2025 8/05 組織づくり 2025年8月5日社員共済会で社内が混乱地方の老舗小売業X社では70年以上、社員共済会を運営しています。社員共済会とは、社員の親睦会、社員旅行、慶弔見舞金支給などの費用負担の役割がありました。給与の1%を天引きしてきたことにより、たまった金額が2025年3月末でなんと1,250万円以上。X社の総務部長は気を利かせたのか、そのお金を有効活用すべく、各店舗の災害時の非常食の購入にあてようとしました。しかし、そのことを知った社員の一人が「それは俺達のカネだ!法違反だ!」と猛反発。そうこうしているうちに、それをなぜか聞きつけた退職した元係長が、お金を返せと内容証明郵便で請求してきたのです。先生、共済会のお金は返還しないって規定にかいていますよ「先生、徴収した共済会費は返還しないと規定していますよ」と総務部長がおっしゃいます。しかし、収入と支出が大きく乖離している場合は、X社のように不当利得返還請求(民法703条)をされる可能性があります。場合によっては、業務上横領(刑法253条)となるリスクさえあります。さらに、X社は賃金控除に関する労使協定も締結していませんでした。これを締結せずに賃金から控除していた場合は、賃金不払い(労働基準法120条違反 30万円以下の罰金)のリスクもあります。請求してきた元係長が長らく従業員代表でもあったのでその辺の事情もよく知っているのです。いくらでも攻撃され得ます。そう簡単なものでもないのです。不人気な福利厚生制度?やれ、社員旅行だ、忘年会だ、新年会だと騒いでいた昭和の時代ともう価値観が変わっています。社員共済会なるものが存在するのは老舗企業に多いです。社員旅行・懇親会も、家庭の都合で行けない女性社員や介護をされている中高年も多く、参加がままならないゆえに不公平感も強いです。昭和の時代は、男性・フルタイム・正社員が中心でした。今は女性の社会進出が進み、雇用形態・価値観が多様化しています。そして、X社のように1%も徴収すると、30万円の人が3,000円徴収されるわけですから不満しかないでしょう。ただでさえ、公的負担が増えて手取りが減り、物価もあがっているので、実質手取り賃金が減少の一途を辿っているのです。社員共済会は解散しなさいY社ではコロナで社員旅行、懇親会すべて中止になったので、共済会費の徴収を停止していました。Y社の社長から、「そろそろ徴収を復活したいと思う。共済会費の徴収額はいくらくらいが良いか?パートも含めて懇親会に参加するのでパートからも徴収したいがどうか?」と相談を受けたことがありました。私はもう徴収などやめて社員共済会を解散するように申し上げました。社員共済会の廃止の方法は簡単です。社員共済会は、徴収をやめると宣言します。そして、給付は継続し、たまった残額がなくなったら廃止とします。その後、必要な社員旅行、懇親会はその都度、福利厚生費として会社が負担する、税務上、個人負担させたほうが良ければその都度個人負担させればいいのです。会社の共済会の運営・管理コストもなくなります。手取りを増やす夏です。 組織づくり