外国人労働者を増やすべきか? 2025 6/13 募集・採用 組織づくり 2025年6月13日実際にあった4つの事例以下、すべて、ここ3ヶ月間で実際にあったご相談です。(事例1)X社は社員120名の精密部品製造業です。特定技能外国人が20名ほど在籍しています。今年の1月に特定技能外国人Aさん(ベトナム人 男性)に母国で子どもが生まれました。そこで、Aさんから育児休業を1年間とりたいと申し出がありました。その後、今年の5月に特定技能外国人Bさん(ベトナム人 男性)から同様の申し出がありました。社長から「先生、なんとかなりませんか・・」とご相談。次から次へと男性外国人が同様に帰国して長期離脱してしまう恐怖です。(事例2)Y社は社員180名の食品製造業です。この度、特定技能外国人Cさん(ベトナム人 女性)が妊娠しました。Cさんは先月から産休に入り、ベトナムに帰国しました。Cさんは同僚の外国人女性に「私はずっと育児休業をとろうと思っている。ビザの更新でいったん入国しないといけないけれど。また●月頃に日本に来るが、再度帰国する。あなたも絶対この日本の制度活用すべきよ」と言っていたそうです。(事例3)Z社は社員140名の食品加工業です。特定技能外国人は25名程度在籍しています。ミャンマー人が7割です。とても問題のあるミャンマー人女性Dがいます。社長はこのミャンマー人女性Dがいると、新規で受け入れた外国人が影響を受けて不良になってしまうと悩んでいます。ただ、特定技能外国人を有期契約期間満了で雇止めし、訴訟などで敗訴すると、ほかの特定技能外国人の受け入れ資格を失い、全員解雇せざるを得なくなります。要するに、会社業務に関係する刑法違反などがない限り、特定技能外国人は簡単に解雇や雇止めができないのです。(事例4)P社は社員100名の機械部品加工・卸売業です。特定技能外国人Eさん(ベトナム人 女性)が近隣の小さな町工場で副業をしているのが発覚しました。なぜ、発覚したかというと、Eさんがその町工場の社長と不倫をして妊娠したからです。怒った町工場の社長の奥さんが、P社に駆け込んできたのです。ちなみに、入管の人道的な配慮なのかわかりませんが、Eさんのビザは取り消されることなく、P社もクビにすることもできずにいます。権利の最大化、義務の最小化私の顧問先企業の中で、とても真面目で勤勉で、特定技能1号から2号になって、家族を日本に呼んで会社のために頑張りたいと言ってくれる、人柄の良い有能な外国人の方を、複数存じ上げています。しかし、外国人労働者の急増にあわせて、お困りごとの相談を毎日のように受けると、その副作用も意識せざるを得ません。「産休育休を最大限にとって給付をもらいながらゆっくりすること」、「めったなことではクビにならないこと」、「ビザも取り消されないこと」、「イザとなったら●●ユニオン(合同労組)に入ろう」。外国人達はよく知っています。実は、日本の産休育休制度(休業制度・給付制度)は、世界トップクラスなのです。解雇規制も世界でトップクラスです。これを受けて、外国人労働者は、権利を最大化・義務の最小化をすることになります。日本人なら「忖度」する事情は、彼(彼女)らの多くは、その「忖度」をすることはありません。しっかりといかれます。労務コンプライアンスも最重要2025年3月、今治造船株式会社が労働安全衛生法違反で、技能実習計画の認定(2,134件)が取り消されました。以後、5年間、(育成就労を含めて)技能実習生を受け入れることができなくなったのです。マンパワー確保上、衝撃的な大問題です。労務コンプライアンスが、外国人雇用の受け入れに極めて重要な意味を持つ典型事件です。中小企業の外国人労働者雇用のスタンス外国人労働者に頼りすぎると大きなリスクになると感じます。もちろん、多くの会社で一定の外国人雇用は必要になると思います。しかし、日本人 → 省力化・自動化の設備投資 → (やむを得ずマンパワーが必要な工程は謙抑的に)外国人雇用、の順番であることは間違いありません。日本人と同様の職務に従事していただく外国人は、全社員の20%程度に抑えたいです。この20%の多くが、特定技能(1号・2号)が想定されます。これを大きく超えると、一定のノウハウ・独自の歴史的な積み重ねがないと中小企業では管理できないように思います。5年後の人員構成社長様と議論をしていますと、外国人労働者へのスタンスと同時に、5年後の人員構成に迷っておられるように見えます。若手がサッパリ採れない、社員は高齢化する、幹部は引退する、パートの賃金がどんどん上昇する(かつ採れない)、外国人ばかりに頼って良いものか・・。ですので、年齢別、役職・階層別に今一度、5年後の人員構成を具体的に描いてみる必要があるのです。賃金制度より人材戦略です。ただ、この人材戦略はいま一番むずかしいです。身にしみています。 募集・採用 組織づくり