労務の高回転経営は社長の○○○○で決まる 2024 11/28 社長のQ&A 組織づくり 2024年11月28日 労務でも高回転経営 経営とは、総資産を回転させて、利益を伸ばすことです。財務面での最重要指標が総資本利益率(ROA)です。ROAの増やし方は、利益を伸ばすか、総資産を減らすか、どちらかです。利益というのはなかなか伸びにくいので、稼ぎに直結しない資産を持たない、又は減らす、又は借り物ですますことが、特に資本力の弱い中小企業にとっては必要となります。 私は労務面でも、高回転経営が今後ますます必要となると考えています。 Aさんは業務を2時間でやります。Bさんは同じ業務を1時間でやります。皆さんはどちらに高い評価を与えるでしょうか。経営者・管理者なら当然、Bさんとお答えになるはずです。しかし、現場ではBさんはあまり評価されず、Aさんと同じか、逆に「頑張っている」とAさんを評価することさえあるくらいです。労働基準法の残業代の仕組みがそれを物語っています。 社長の時間感覚を鋭くする 労務の高回転経営は、社長の「時間感覚」で決まります。これから経営者・管理者に必要なことは、この「時間感覚の鋭さ」です。トップの時間感覚がそのまま、組織の時間感覚になります。単位時間当たりどれくらいの仕事をやるかです。これを労働生産性ともいいます。ROAの増やし方と同じように、アウトプット・仕事量を増やすことより、同じアウトプットをいかに短時間で済ませることができないかを考えたほうが簡単です。これを実現するためには、経営者・管理者が今までやっていた仕事を短縮する、スピードを上げることに執念を燃やすことです。 たとえば、残業申請を受け付けるときに、「●●業務 19時まで1時間30分」と申請がでた時に、内容を聞いて「1時間半ではなく、1時間でやるようにしてください」といえるかどうかです。私のクライアントのS社は、社員25名を超えているのに、残業をするときには社長の携帯電話に17時30分前後に直接電話がかかってきます。社長が「○分でできないか」「もっと早くすることができないか」「なぜ、そんなに時間がかかるのか」と、くどくどやっています。私は「社長、いつまでそんなこと社長ご自身でやるんですか」と苦言を呈するも、社長は意に介さずです。しかしS社は、とても儲かるとは思えない業種に属しながらも、他社を尻目にROAをしっかりたたき出しているのです。 K社は、管理部門・間接部門のコストを全従業員の総給与の●%以内と決めておられます。創業より30年間で赤字になったのは、リーマンショックの1回だけの優良企業です。K社の社長いわく、「総務部長・総務課長と言われる方は割とのんびりとマイペースで仕事をされる方が多い」といいます。そして、総務の定型業務をこなす部下に対してもそのようにみていて、間接部門の人員は他社の半分以下です。そうなると、比較的、毎年同じ業務をやる総務ほど、時間にメスが入れざるをえません。今まで丸1日かかっていた作業を半日でできないか、そもそも必ずやるべき仕事なのか、について常に目を光らせ、単位時間、単位人件費の「回転」(少ない時間でたくさんの仕事量)をあげていくことになります。メスの入れ方は、外部の税理士さんや社労士さんに業務のフロー・やり方を客観的に見てもらうことも効果的なことがあります。 常に時短して、空いた時間で他の仕事をこなすことをし続けるためのポイントは、社長の時間の感覚の鋭さ、せこさなのです。社長の時間の感覚の鋭さ以上に、組織の時間感覚は鋭くならないのです。同じ仕事を永年、同じ時間でやっている、 期限を守らない部下を許すのは論外といえます。省力化投資+厳格なマネジメントで1日8時間勤務の社員の時間をどう濃縮していくかに執念を燃やす経営です。 社長のQ&A 組織づくり