退職金は「賃金後払い」ではなく「●●●●●」である 2022 10/03 評価・給与 2018年12月6日2022年10月3日 退職金の全部又は一部不支給事案で係争になることがあります。裁判官が「退職金は在職中の功労報奨であり、賃金の後払いである」と勝手に決めつけます。したがって、退職金の全部又は一部の不支給で会社が負けることが少なくないのです。 目次そもそも退職金は任意の報酬制度です。 退職金制度をつくる、つくらないは会社の自由です。だとするなら、退職金制度の目的・趣旨も自由に企業が決めて良いはずです。 こんな人に退職金が要るのでしょうか? 勤務3年以上で退職金が出るとします。 Aさん 新卒で入社して6年勤務 これからという28歳で転職 Bさん 55歳で大手企業の早期退職優遇制度で退職した後に当社に入社 60歳で定年退職 Cさん 28歳で当社に入社 36歳で課長に昇進し、40歳で部長に昇進した直後にライバル会社に転職して顧客を奪う Dさん 40歳で入社。 素晴らしい経歴の履歴書であったが、能力はサッパリ。入社5年我慢したが周囲からのクレームが絶えないのでやむを得ず解雇。 私は、何社も何社も何社も退職金制度の改革をやってきました。 しかし、上記すべて退職金がきれいサッパリ支払われる会社が大半だと思います。経営者からすれば上記のような人に退職金は要らないのでは?と思われるのではないでしょうか。 大手企業はいざしらず、中小企業の退職金の目的・趣旨は「円満退社のインセンティブ」や「お別れの手切れ金」としたい。退職金は賃金の「後払い」ではなく、賃金はその都度、給与・賞与で「既払い」のはずです。 昨今、一定の責任のある者も1ヶ月前に申し出で引き継ぎもせずにサッサと辞めていきます。 ひどい場合は引き継ぎに支障があるくらい、退職前に有給を消化します。また、さらにひどい場合は課長職でありながら、2週間前に一方的に退職届を出してさっさと辞めていきます。まさに「自己責任なき権利主張社会」の縮図です。 「代替要員を確保しておきなさい」、「仕事の属人化をしているからいけないのです」と外部の先生方はおっしゃいます。しかし、中小企業でそんな余裕はございません。 私は、退職金は任意の制度ですから、「3~4か月前には申し出て、引き継ぎをバッチリこなし、円満に退職した人ほど退職金が多くなる仕組み」でもいいと思っています。また、これから退職金制度をつくられる場合、極論ですが、転職希望の自己都合退職に退職金無しでもいいのではないですか。 人手不足・人材難のなか、多くの人が中小企業を見切って辞めっていきます。 しかし、そこで踏ん張って、ついてきてくれ、長期勤続してくれた社員にはドンと惜しみなく払いたい。そうでない人は冷遇したい。退職金の大きな目的は「定着の促進」だからです。 退職金には老後の生活保障の意味もあるといいますが、もう企業は70歳までの雇用措置が義務付けられるような時代になりつつあります。昔に比したら15年以上、企業は雇用と賃金でめんどうをみさせて戴くのです。また、額は縮小していくでしょうが、厚生年金保険料も半額負担しています。どこまで企業がめんどうをみればいいのでしょうか。 昭和の退職金の考え方が昨今の労務事情にどうもマッチしないのです。 評価・給与