社長のための業務委託活用のポイント

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今後は業務委託契約が拡大する!?

テレワークや在宅勤務がさかんです

企業の9割がテレワークを継続するといいます。私はこのテレワークが職務主義・職務給を一気にすすめるのではないかと考えています。

また、政府は一昨年から副業解禁を雇用政策として打ち出しました。このような流れから、「雇用契約」ではない「業務委託契約」もドンドン拡大するのではないかとみています。そして、本屋さんに行くといま「一人社長」とか「週末起業」とかいう本ばかりです。働く人たちのニーズはソコにあるのだと思います。つまり、こういうことです。

テレワーク×職務給×副業解禁×一人社長=業務委託契約の拡大

ポイントは労働者性の排除

労働者か業務委託者か怪しい中小企業

一方で、私は業務委託契約者を受け入れる企業のほうはイマイチ準備ができていないように思います。「仕事をしてもらう人」という大きな括りで、労働者と業務委託契約者を同列で取り扱う中小企業もたくさんお見受けします。これはお互いにリスクがあります。

法律では業務委託を明確に定義はしていません。ですから、業務委託契約を活用したい社長が「労働基準法の労働者性」を排除することが適正な業務委託契約の締結につながる、そう思ってください。

労働基準法上の労働者とは何か?具体的な判断基準が問題となります。

1985年 労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(1985.12.19)が参考になります。キーワードは「使用従属性」の有無です。

第1 指揮監督下の労働の有無
①諾否の自由の有無
②指揮監督の有無
③勤務場所・時間の拘束性
④労務の代替性の有無

第2 報酬の労務対償性
労働の結果による格差が小さいこと(時間給など)、欠勤控除があること、残業手当が支給されていること等

第3 労働者性を補強する要素
①事業者性の有無
②専属性の程度
③採用過程、労働社会保険の適用関係等その他使用者が労働者と認識していると推認される事項

社長の「人を思い通り、自分の指示で動かしたい」気持ちの排除が必要

社長は目的・目標・価値観で人を動かす

社長のなかには、人に任せきれず、イチイチ細部まで指示を出す方がおられます。それは一定の専門性を負った事業会社にさえです。とにかく自分の思い通りに人を動かし、自分のイメージの商品・サービス・空間を創り出したい。このような方が社長になっているといえます。しかし、この発想で業務委託契約者にバンバン指揮命令し、自らの従業員と客観的に推認されることになれば、非情に危険です。

もし、業務委託契約者と言いながら、労働者であると後でひっくり返れば、残業代の支払いはもちろんのこと、労災、安全衛生面などさまざまな義務の不履行となります。

今後、1人社長として身の丈起業をしたい、本業の傍ら、副業で個人事業主として活躍したいという「働く者のニーズ」が多くでると考えます。そのようなやる気と一定の品質を備えた人たちと目的・方針・目標をしっかり共有し、対等な立場で良い仕事をする、そんな「ネットワーク組織」の構築が稼ぐ会社づくりに寄与する時代となります。

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