社員50名の中小企業です。賃金体系の書籍で勉強しましたがしっくりきません。賃金体系づくりのコツを教えて下さい。 2022 8/26 評価・給与 2014年4月13日2022年8月26日 巷の本や書籍の99%は大手企業向けのものです。中小企業向けと題して書かれている書籍、開催されている賃金セミナーなども、従来の賃金理論の焼き回しにしか過ぎないのでほとんど参考になりません。 私はまず「中小企業の弱点」と「中小企業の魅力とは何か?」を自覚することだと思っています。中小企業の弱点と魅力を考えるときに、大手企業と比較して考えることが有用です。 大手企業は組合もあり、しっかりとした賃金体系もあって、〇歳で係長、〇歳で課長、〇歳で支店長という具合に努力の見通し・将来展望が比較的はっきりとしています。 それに対して、中小企業は将来の展望が曖昧です。いくつになったら賃金がどうなるのか?その道筋もわからず、役職者の昇格基準も不明です。あるのは目の前にいる先輩や上司の姿だけです。 しかし、中小企業ほど、人(ライバル)がいませんから、自らが「人財」になりさえすれば社長や幹部の目にとまり、トントン拍子で昇進昇格していくはずなのです。たまたま職安に紹介されて、とりあえず面接に来て、採用された人にこそ、そういうことを教育していく必要があります。 株式会社染めQテクノロジーという会社の社長である菱木貞夫氏は中途入社の新入社員にいつも以下のような話をするそうです。 「(引用ここから)君たちが入社したのは、この会社をいいと思ったからだろう。でも、片足は会社に外に置いているはずだ。そして「社長や上司がどんなヤツなのか」「仕事はおもしろいのか」、それを見極めた上で、ずっと働いていい会社か判断しよう。大したことがなかったら、また探そう。そんなふうに考えているはずだ。最初に断っておくと、そういう意識でいる限り、会社にとって必要な「人財」にはなれない。明日がない。どんどん成長して、他の人にはできないようなことを成し遂げるようなヤツは、そんな入り方をしない。最初から自分のすべてを投げ出すんだ。良い会社か、悪い会社か。そんなことは関係にない。入ると決まった以上は「自分のすべてを投資する」。これが正解だ。君たちがいて、会社があるわけではない。会社があって、君たちがいる。自分のすべてをかけて貢献する。ひたすら役に立とうと全力投球する・・・。こんな新入社員がいたら、会社は、幹部は、どう思うか。腐った会社は別だが、もうこれだけ相当な「人財」と誰もが認めるだろう。(引用ここまで)」『「生きる事は闘い。ならどうする。」ダイヤモンド社刊』 より。 大手企業のように仕組みがきっちりと出来上がり、仕事が義務となるような世界ではなく、中小企業は意欲と行動とアイディア次第で、ダイナミックにどんな道でも切り開ける世界があります。 中小企業の魅力とは、自らの力を思い切って伸ばすことができる期待です。t中小企業にやってくる人たちは大手企業と同様の処遇水準を期待しているわけではなく、自分の力を発揮して認めてもらうことを期待しています。私たち経営者はその期待に応えるための、社員が完全燃焼するための条件を作る必要があります。 中小企業に賃金体系が必要なのは、努力次第で昇進昇格が思いのままと感じてもらうためです。大手企業なら15年かかるとしたら、中小企業なら5~6年で頑張れば課長になれる。そして、実質的な報酬も伴えば、充実の人生がそこに生まれます。 中小企業の仕事とはかっこいい仕事ではなく、労働集約的でその分、加工賃、賃金がかさむので、一人当りの賃金を抑制するのはやむを得ない。そのうえ、やれアベノミクスのベースアップだ、年次有給休暇だ、ワークライフバランスだ、1分単位で残業を払えだと労働コストは高まっていく、中小企業の賃金管理は本当に難しい。 いすれにせよ、大手企業と同様にすべてをパーフェクトにしようと思わなくていいです。 そんな発想には限界があります。弱者は弱者らしくやればいい。 私の言いたいことは、中小企業には少なくとも係長クラスまではオーナー社長がすべてを掌握できるという強みを活かし、中小企業には独自の魅力があることを全面に押し出し、それに共感し我が社を選択するような若者に期待する、そのような環境づくりをするのが体系づくりのコツということです。難しい人事評価制度はまず要らないです。 結局のところ、中小企業は「オーナー社長と社員の関係」が原点なのです。 しかも、中小企業は一人ひとりの顔が見えて、心情までわかりあえているという特徴があり、まずその特徴を活かすという発想が私の賃金体系の発想の根拠になっています。 社長が適切な戦略を立て、その指揮のもとで社員がやる気を起こせば、どんな競争にも勝てるし、活気があり、稼ぐ組織に変わっていきます。 評価・給与