某正社員の出来が悪いのでパートがやる簡単な仕事に配置転換し、給与を3割カットしましたが、訴訟になり負けました。

なぜ、3割カットかというのが恣意的だからです。

日本の労働法では解雇は難しいが、配置転換は容易だ、ということはお聞きになったことがあると思います。しかし、配置転換に伴い賃金まで自由に減額できるかといえばそうではありません。賃金は合意又は客観的・合理的な理由なければまず減額することはできません。

よくあるパターンが営業職でサッパリ成果がでずに、倉庫に配置転換する、などのパターンです。この場合、営業職につく営業手当2万円をカットするなどは合理性があり認められます。

会社が賃金規程上、明確にしておくべきことは「職種ごとの職務手当のランク」をつけておくことです。

話しを簡単にするために、職務には2種類しかなくて、「難しい仕事は月例賃金を25万円」払ってもいい、「簡単な仕事は月例賃金20万円」払う、という会社があったとします。

正社員がやらなければならない難しい仕事A=基本給20万円、職務手当5万円

パートでもできる簡単な仕事B=基本給20万円、職務手当0円

としてルール化しておきます。Aの仕事をやってもらっていたのだが(Aの仕事ができると思って採用したのだが)、やらせみたらどうもできない。だから、Bの仕事をやってもらおう、ということになった場合に、上記のように明確にしておけば、「職務が変わった→職務手当が外れた→賃金が5万円減額になった」というのが客観的・合理的な理由となるということです。

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