働き方改革では社員のやる気に頼る経営が最も危ない 2022 10/03 組織づくり 2018年6月21日2022年10月3日 若年労働力不足、人口減少・総需要減少、超高齢化高負担、若手の価値観の変化が、もう従来の労務管理制度を機能不全にしていくと思われます。 目次従来の労務管理制度とは、帰属意識、忠誠心、精神主義、信頼関係をベースとしたものです。 社員を「家族」にように大切に取り扱うのは素晴らしいことです。しかし、「家族」や「身内」であるからこそ、甘えが出る、ときには残酷な仕打ちをしてしまうものです。 昭和から平成一桁までは「精神主義」「曖昧主義」「協調主義」はまだ通用しました。 しかし、「自分の時間を大切したい」「給与決定の明確な説明がほしい」「職務内容を明確にしてほしい」「男性も育児休業をとりたい」若手社員には全く魅力のない古臭い会社に映るのです。その「若手」たちが会社の多数派になっていきます。 安倍政権の主導する長時間労働是正、有給消化率向上、同一労働同一賃金など欧米の労務管理に近づける政策は、若手に極めてウケがいい。若手の価値観は欧米人に近づいているのです。私のような40歳以上のオジサンの頭はついていっていないのです。多くの経営者・管理職は40歳以上なので、一部のカンの良い方を除いてほとんど時代に乗り遅れています。 社員のやる気の向上のために、給与制度や評価制度をいじくる、長期的についてきてくれたら悪いようにしない、飲み食いをして一体感を高める等の生産性を向上させる手法は無理な段階に来ました。 つまり、もう精神性・協調性を強みにする、日本の独自の経営スタイルでは戦えないのです。 有給休暇は全部消化し、原則残業はなく、職務内容や目標が明確、明瞭な処遇制度、ワークライフバランス・・、これを前提にした事業でないとやっていけなくなります。 誤解をおそれずに言えば、働き方改革とは「値上げ」であり、スクラップ&ビルドのことです。 ヤマト宅急便の例を出すまでもなく、値上げができる商品サービスに絞り込み、それを評価してくれる顧客を絞り込み、たとえ売上が下がったとしても、不得意で効率の悪い仕事を排除し、粗利を増やす。その結果、ワークライフバランスを実現しながら、一人当たり粗利益を上げていきます。 この経済合理性に徹したドライな取組みより、ワークライフバランスを実現できる体制になってはじめて、(この体制をつくったら間髪を入れず必ず)人を思い切って増やすのです。少数精鋭などといっていてはいけません。 ダメなパターンは、構造改革に踏み切らず、人が足りないから人を増やして、精神主義でやる気を高め、売上げを上げようとすることです。 いよいよ日本の労務管理がグローバルスタンダードに叩きのめされようとしているということです。 組織づくり