中小企業は401Kはおやめなさい! 2022 10/03 社長のQ&A 2022年6月23日2022年10月3日 401Kの提案、はやっています 確定拠出年金、通称401Kをお考えの企業が多い。国の年金制度がもう期待できないので、自分たちで年金を用意しなければならないという論調だ。 中小企業の社長は401Kをやりたがる。社長自身の社会保険や税金の節税にもなるからだ。社員にとっても、社会保険や税金の節税となり生涯手取りを増やすことができるという大義名分もある。 401Kを提案する金融機関、社労士さんも最近特に増えてきた。大きなビジネスチャンスと とらえている。関係者の手数料が稼げるストックビジネスだからだ。 しかし、生々しい中小企業の労務の現場で、のたうち回って仕事をしているコンサルタントの立場からは異論がある。 401Kは最後の福利厚生である 私は、賃金・賞与を相場以上に払い、退職一時金も相場以上に払えている会社は、401Kを検討しても良いと思う。大手企業などは最適だろう。たとえば、2000万円の退職金のうち、退職一時金に1200万円、401Kに800万円を配分するなどがありえる。 しかし、中小企業の一部には、まともに残業代が払えていなかったり、賃金・賞与も ままならなかったりする。退職金がない会社も多い。加速するインフレで生活が苦しいので、まず今の賃金改善が先だ。退職一時金を廃止して401Kに移行する会社があるが、私は反対だ。 401Kは労務管理に役立たない 労務管理の要諦は、社員から会社の期待行動を引き出すことだ。永く勤務し、貢献度の高い社員にはしっかりと報いたい。 でも、ライバル会社に転職し、顧客を奪う背信行為等があればドンと減らしたい。払いたくない。また、十分な引き継ぎを行い退職した人物と、引き継ぎもせずに退職代行サービスを使って退職日まで有給休暇を使い辞めていく人物とは、差をつけたい。 いま、若手の定着問題が はなはだしい。もう、勤続10年未満の退職金は要らないと思う。その分、今の給与で払う要請が強く生じている。その代わり、辞めずについてきてくれた幹部には今まで以上にドンと手厚く報いたい。ついてきて良かった、この会社に勤めて良かったと思えるようにしたい。 401Kは、このような社長の本音をカタチにあらわすことができないのだ。 退職金は手切れ金として機能することがある 401Kは老齢年金の上乗せだ。だから60歳・65歳以上でなければ給付されない。しかし、70歳まで雇用する時代において、20代で入社して1社のみに勤め上げることは、今後は難しいだろう。そうだとするならば、早期退職優遇的に退職一時金に一定の金額を加算(会社都合)して、次の就職先の転身支援金として機能する場面が多くあるはずだ。40歳・50歳での転職は、理屈はさておき、とにかく先立つものは「現ナマ」、つまり「手切れ金」だ。 「毎月401Kにかけてきたのだから、退職金はゼロで良いではないか!」とは いかない。「それはそれ、これはこれ」の典型例だ。 今後、インフレ・人材不足・最賃上昇などにより、賃上げ要請は凄まじいものになる。多くの中小企業にとって地獄のような厳しい状況になるに違いない。まずは、賃金・賞与の底上げである。そして、あくまで会社の労務方針に沿ってしっかりと支払う対象者・金額を決めることのできる、ビシッとした労務管理に有用な「退職一時金制度」が必要なのだ。 社長のQ&A