コロナ時代の新型・職務給制度の考え方と作り方 2022 10/03 評価・給与 2020年8月19日2022年10月3日 1 ジョブ型雇用への移行はかなり時間がかかるはず ジョブ型雇用に移行しようという論調がさかんです。ジョブ型雇用とは日本に根付いたメンバーシップ型雇用とよく対比されます。雇用システムとは社会システムなので、現状の日本社会に根付くかといえば、かなり時間がかるはずです。 その理由は、3つあります。一つ目は、日本は解雇が難しい国だから、労働移動が円滑に進まないことです。ジョブ型なのに解雇規制が強ければ、社内に仕事がなくなった場合でも解雇できないことになり、矛盾が生じます。二つ目は中小・零細企業の経営者は多能工を好みます。特定の仕事だけこなせる(又はこなしたい)人物は使い勝手が悪いのです。三つ目は、一つ目と関係しますが、変化が激しいデジタル化社会においては簡単に職務内容が変化します。職務内容そのものが消滅することもあります。ジョブ型は経営環境の変化とそれに適合する職務内容の変化に柔軟に対応できないのです。 2 職務給・役割給の運用はとっても難しい 日本の雇用システム・組織の作り方が変わらない限り、仕事を人につける職務給の導入は難しいです。現在の日本の給与システムは人基準の能力給・属人給です。人に仕事をつけます。人事コンサルタントが職務給と能力給の間をとって、役割給と称して人事制度を組み立てることがあります。しかし、その本質は人に仕事をつける能力給であることが一般的です。 ちゃんとした役割給制度にはお目にかかったことはありません。職務給制度と言いながら、その実際は能力給制度であるなどの実態もたくさん拝見しています。それだけ職務給制度、役割給制度の本格的運用は難しいのです。 3 コロナ時代の新型・職務給とは? 私は能力給と職務給を組み合わせるほかないと考えています。難しい話ではなく、一定のところまで定期昇給がある基本給と職務内容の応じた手当を加算する給与体系です。この一定のところまでの定期昇給は業種業態・各社各様で決定することになります。 基本給(人基準の能力給)+役職手当又は専門職手当(仕事基準の職務給) です。すごくシンプルに言えば、基本給は30~35万円が上限、役職手当は1万~20万円の範囲で決定するイメージです。もちろん、時間外手当はきれいサッパリ支給する前提があります。設計するときには賞与をアベレージでどのくらい支給するのかを含めて年収ベースで考えます。 昔の給与制度を引きづって、20代は3000円~4000円/年の昇給で、40代・50代の昇給は最低5,000円以上で上は万単位であるという事例がよくあります。こういうのは時代遅れで、ドラマ半沢直樹の銀行内部のように「昭和の遺物」といえます。 若いときほど、その成長スピードにあわせて万単位の昇給をする時代がきます。若手は習熟期間だから昇給格差はつけないという意見もありますが、今後は若手ほど能力成果によって差をつけるという考え方もありえます。つまり、有能な人材は基本給30万円の到達に時期が早まります。30代で必ず到達です。反面、40代ではもう定期昇給がなくなります。その代わり40代は役職について部下を指導・管理できる人は役職手当、高い専門能力を持ち管理職と同等の付加価値をもたらす人は専門職手当がその能力成果に応じて支給されます。 厳密性を廃して敢えて記載すれば、40歳時点の給与総額として、 部下指導力 〇 専門的能力 〇 月給50万円以上 部下指導力 × 専門的能力 〇 月額40万円部下指導力 〇 専門的能力 × 月額40万円それ以外 月額30万円 定型業務者 月額25万円(止まり) 部下指導力とは、人的能力のことです。つまり、対人能力のある人・信頼感のある人・会社と想い一つの人・人柄的に辞めてほしくない人・会社とウマがあう人と置き換えて考えることもできます。 賞与は年間3か月分以上を支給する構造にします。月給は原則下げにくいので、できれば5カ月分くらい出ているといいですが、中小企業では難しいですね。 とここまで記載してきましたが、上記は正解でも何でもありません。要は、貴社の給与ポリシーを今こそ明確にしましょうということです。 評価・給与