いま求められる!パートタイマーの賃金改革 2022 8/26 評価・給与 2016年4月1日2022年8月26日 最低賃金が上昇の一途を辿っています。パートタイマーの有効求人倍率がドンドンあがっており、その採用コストもばかになりません。初任給と求人広告コストも同時に急に上昇しています。そこで問題となるのが、昨日入った新人パートとその新人パートの教えるベテランパートの時間給が変わらないことです。そんななかである事件が起こりました。 (ベテランパートが一斉退職の悲劇) 全国に店舗展開する成長著しい小売業。本部機能を担うある部署でベテランパートが一斉に退職した。多忙を極めたことと、今年入った新人(時給850円)と入社5年のパート(時給850円)の賃金が変わらないことを不服とした退職だと言われている。つまり、教えている人と、教えられている人の賃金が同じなのだ。 ベテランがごっそり抜けた穴埋めなどの後始末は、ただでさえ忙しい正社員に大きな負担とのしかかる。また、辞めずに残ったパートにしわ寄せが及べばさらなる退職を誘発しかねない。さらに求人を出しても思ったように採用できない。「最近の応募者って、こっちから電話しても電話とらへんな・・」と採用難に対する総務課長のボヤキが続く。 (いま、パートタイマーの抜本的賃金改革が必要だ!) 政府は毎年10%ずつ最低賃金を上げ、全国平均を1,000円に、また平成28年10月1日より3年以内に週20時間以上勤務の中小企業のパートタイマーにも社会保険の適用が予定されています。つまり、パートタイマーの賃金は1,000円が基準賃金で、社会保険に原則加入です。それなら従来の発想ではやっていけません。 (パートタイマーの賃金改革 5ステップ) その1 パートタイマーにもキャリアステップを設ける その2 パートタイマーにも評価制度を設ける その3 パートタイマーの寸志は廃止し、有能なパートの時給を上げる その4 パートタイマーの賃金体系を整備する その5 地域限定社員制度を設ける 正社員の人事給与制度のような複雑かつ抽象的なものではなく、小売店ならたとえば、以下のような感じです。 4等級=クレーム対応などを含めた店舗運営ができる。店長が外出することも可能。 3等級=店長の休憩中など一時的に店舗の運営を任せられる 2等級=どの時間帯でも独力で一通りの作業ができる 1等級=基本動作ができる 0等級=研修中 この等級に能力時給給を貼り付けます。また、地域相場がありますので、地域によって加算を設けます。 【基本時給】 700円 【能力給】 4等級=400円~600円 3等級=200円~390円 2等級=100円~190円 1等級= 20円~ 90円 0等級= 0円 【能力給の給与改定方法】 S評価=+20円(全体の5%以下) A評価=+10円(全体の10%以下) B評価=± 0円 C評価=-10円 D評価=ランクダウン 【地域給】 エリアA 250円 エリアB 200円 エリアC 150円 エリアD 100円 エリアE 50円 たとえば、ベテランパートの時給が現在850円だったとします。このベテランパートは2級の実力があったとします。ベテランパートの時給を以下のように見直します。そうすると最低、以下のような時間給になります。 基本給700円+能力給100円+地域給C150円=時給950円 (京都地区をイメージしています) これを機会に寸志を廃止します。原資を有能なパート・アルバイトの時給の底上げにまわします。パートにもできれば半年に1回評価し、時給の見直しを行います。人事評価表はA4 1枚の簡単なものでもかまいません。緻密な評価にこだわり過ぎないほうが良いです。 パートが正社員につまり、地域限定社員になれるキャリアパスも用意できれば完璧です。 地域限定社員とは、転居を伴う転勤がない社員です。全国展開を行う小売業等は女性活躍促進・多様な労働力を確保するためには必須の労務制度となりつつあります。 (キーワードは「公平感」「承認」だ!) パートに多くの年収を御支払いすることはできません。だとするなら、それに見合う「非金銭的報酬」が必要です。具体的には上記のような賃金・評価制度による公平性の担保(明らかな不公平を放置しない)、または上司や本部スタッフからの承認の仕組みなどです。教育制度なども非金銭的報酬の典型です。 このような労務政策が企業業績を決定的に左右する時代になってきたと実感しております。 福田式賃金管理事務所は数回の面談で、貴社にマッチした人事賃金制度を御作ります。 評価・給与