中小企業のジョブ型雇用制度はこうしなさい

職務記述書を詳細に精緻に記述して運用するのは無理

JDという略語をご存知でしょうか。女子大生という意味ではありません。JDとはジョブディスクリプション、つまり職務記述書のことです。  

詳細な職務記述書(JD)をつくって、職務内容を明確にしなければジョブ型雇用は実現できないと言われます。しかし、それは誤解です。欧米でもJDの記述は抽象的・概括的です。その記述が曖昧でも、ポスト(お金もポストに結び付いている)に人を張り付けるので、その意味で運用上、明確です。つまり、ポスト雇用であれば十分に運用できるのです。欧米ではポストに期待される役割が果たせないと配転ではなく、クビになります。社内の人員を配転によりそのポストにつけることはあまりありません。ポストを提示し、条件とともに新たに募集します。ポストに人をつける、これがジョブ型雇用です。  

日本ではおおむね課長以上から「ポスト雇用っぽくなる」のが原則です。つまり、課長以上はおよそジョブ型雇用です。その証拠に中小企業の賃金統計においても課長以上の給与は「職務給」の様相を呈しています。年齢・勤続によってあまり差がないのです。

「専門課長」がいるのは日本だけ?

もちろん、課長代理・専門課長・担当課長など、ポストが足りないがゆえに「課長っぽい人」を登場させるなどはあります。というか、バンバン登場します。課長以上はジョブ型といいましたが、ミルクボーイ風に言えば、こうなります。

「オカンの会社でな、仕事で給与が決まる人事制度が4月から始まってなー」

「ほう、それ今はやりのジョブ型とちゃうかー」

「オカン、4月から課長になったんやけどな、部下おらんへんらしいねん」

「それジョブ型とちゃうやないかー」です。  

これを日本では専門職制度と呼び、職能資格制度とあいまって、ポストがない代わりにやる気と能力のある社員のモチベーションを高める施策として機能します。ジョブ型・ポスト雇用社会である海外の人から見たらサッパリわからない制度だと思います。主任や係長が人数無制限で発生するなどが理解できないしょう。

要するにこうですよね?年収目安

つまり、主任・係長までは日本型(メンバーシップ型)、課長以上はジョブ型、そして、60歳以上もジョブ型にすると良いと思います。年収目安を以下に記載します。社員300名以上の会社は下記に50万円~100万円を収益性・安定性によって加算して下さい。


ヒラ社員
└初級 年収250万円~300万円 
└中級 年収300万円~400万円
└上級 年収400万円~500万円
主任・係長     年収500万円~600万円
課長        年収600万円~750万円
部長        年収700万円~850万円
執行役員      年収800万円~1000万円
取締役       年収1000万円以上

ジョブ型が気になっている中小企業において、まず“ジョブ型”をどう適用するかですが、重ねて申し上げますが、一つ目は「課長以上のポスト」です(これは適用済みの会社が多い)。二つ目は「60歳以上の嘱託」です。嘱託については上の図の「中級」程度のジョブは担っているでしょうから、嘱託給与は年収300万円~400万円の年収が良いでしょう。永年のキャリアを考えると、「初級」の年収250万などは低すぎるでしょう。そうです、嘱託給与を一律6割にする、7割にするという時代は終わり、労使の納得感がありません。

まず実施することは?

具体的にはまず人事労務施策として何をするか?課長以上(役員含む)のジョブ(成果含む)はもっと明確にしたいです。また、専門職として「専門課長」「担当課長」なるものを作るのなら、少し頑張って「専門課長」「担当課長」の職務記述書(JD)の作成に挑戦してみるべきでしょう。

嘱託給与については管理職や高度専門職でない限り、上記の「初級」「中級」「上級」のいずれかの年収で良いでしょう。定年(60歳)時に社長等が決めましょう。  

全体的な人事制度としては、ビジネスモデル、1人前までの育成期間、一人前になったときの市場価格(せっかくの投資がムダにならないように)などで昇格昇給スピートを変えればいいでしょう。  

お気づきかと思いますが、年収500万円までは欧米流の「真のジョブ型雇用制度」はまだまだ無理でしょう。社会システム・労働法制が根本的に異なるからです。特に政府「ジョブ型」を推奨しながら「解雇規制」は変えないです。これが根本的な間違いです。

でも、欧米流のジョブ型への移行は直ちに無理としても、「ジョブ型っぽいシステム」に社会・企業は移行していくでしょう。

私は賛成です。ジョブ型(実務重視型)、ワークライフバランス型共働き夫婦、つまり年収500万円×2=1000万円の世帯を日本にたくさん作ることが日本再生の道だと思います。そのためには、若い頃からキャリアについて深く考え、実務を極め、節目でスキルアップの学びなおしをする、働く者が主体的にキャリアを選択していくことが必須となります。  

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